交通事故での重度脊髄損傷
脊髄損傷とは?
髄は、脊椎の中を通り、全身に枝を出す中枢神経系をいい、多くの機能を司る重要な器官です。この脊髄を損傷してしまうと、手足のしびれや機能障害、重症の場合は四肢麻痺など、あるいは損傷部位以下の全機能の喪失が起きます。脊髄は、脳と身体各部との間を連結し、多種多様の信号を伝える重要な役割があります。反射運動においては、脳への連絡が省略され、脊髄自身が指令を出します。 脊髄は、脳とともに、中枢神経に分類され一度傷付くと元に戻ることはありません。脊髄損傷の4割くらいが交通事故での受傷原因です。
脊髄損傷の種類
脊髄損傷は、損傷の程度により、「完全麻痺」と「不完全麻痺」に分かれます。
完全麻痺
上肢または下肢が完全強直するか完全に弛緩する場合
不全麻痺
上肢または下肢を運動させることができても可動範囲等に問題がある場合
脊髄損傷の症状
重度脊髄損傷では、様々な症状が発生します。また、発生した症状により、介護が必要となります。
四肢麻痺
脊髄損傷の最も基本的な症状です。両側の四肢の麻痺で、脊髄損傷の部位が上位であればあるほど、重篤な麻痺症状が発症しやすくなります。
片麻痺
片側の上下肢が麻痺します。
対麻痺
両上肢または両下肢が麻痺します。
単麻痺
上肢または下肢の一肢のみが麻痺します。
脊髄損傷による麻痺では、四肢麻痺、または両下肢の対麻痺になることが多いとされています。
脊髄損傷での麻痺の程度
脊髄損傷での麻痺の程度は、運動障害の程度により判断され、以下の3つに分けられます。
脊髄損傷での高度の麻痺
脊髄損傷での高度の麻痺は、障害のある上肢又は下肢の連動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては、歩行や立位、上肢においては、物を持ち上げて移動させること)ができないことです。(例.完全強直)
脊髄損傷での中等度の麻痺
脊髄損傷での中等度の麻痺は、障害のある上肢又は下肢の連動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があることです。(例.文字を書くことができない、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難)
脊髄損傷での軽度の麻痺
脊髄損傷での軽度の麻痺は、障害のある上肢又は下肢の連動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれていることです。(例.文字を書くことに困難を伴う、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができない)