RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)
RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)とは?
RSDとは、反射性交感神経ジストロフィーと呼ばれ、神経因性疼痛の代表的なものです。交通事故での外傷によって、交感神経が反射し、神経伝達物質であるアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮させて出血を抑制する働きがあります。怪我が治ったにもかかわらず、アドレナリンが過剰に放出され続けると、血管収縮による血流障害が生じ、慢性の痛みや痺れなどを誘発します。この病気は他質的所見に乏しいため、周囲に理解されにくく、また、医師にも誤診されやすいという問題点があります。
このRSDと類似した症状としてカウザルギーと呼ばれる傷病があります。カウザルギーは末梢神経損傷を伴わないRSDとは区別されますが、実際にRSDとカウサルギーの病態としては共通点が多いので、これらを総称してCRPSと呼び、RSDはCRPSのTypeⅠ、カウザルギーはCRPSのTypeⅡと分類されています。
RSDの症状
RSDの症状は、患部の腫れや、激しい痛み、骨の萎縮、発汗の異常、皮膚変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)などがあります。
RSDの治療
治療法に、神経根ブロック、局所神経ブロック、星状神経節ブロック、局所静脈内交感神経ブロック硬膜外ブロック、交感神経節ブロック等の神経ブロック療法、副腎皮質ホルモン、温冷交代浴や可動域訓練等の理学療法、疼痛などのために抑うつ症状がみられる場合には抗うつ剤が投与される薬物療法などがあります。
RSDかどうかの診断は非常に困難ですので、少しでもRSDの疑いがあると思われたら、早期に専門医に相談して治療をすることが必要です。
RSDの後遺障害等級
自賠責の後遺障害認定において、RSDが認められるためには、①関節拘縮、②骨の萎縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期における主要な3つの症状が、健側と比べて明らかに認められる場合に限り、7級、9級、12級のいずれかを認定する旨定めています。
- 7級4号
- 軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの
- 9級10号
- 通常の労務に服することができるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
- 12級13号
- 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの
等級認定のポイント
診断書でRSDと診断され、RSDに関連する症状が残っているケースについては医師に医療照会を行い、認定基準の、①関節拘縮、②骨の萎縮、③皮膚の変化の3つの要件を満たすかどうか確認します。
- ①関節拘縮は、関節機能障害で評価した場合の等級(上肢の関節機能障害、手指の関節機能障害、下肢の関節機能障害、足指の関節機能障害)を参考にします。
- ②骨の萎縮は、X-P、MRIによりその有無・程度を確認します。
- ③皮膚の変化は、サーモグラフィー、発汗テスト等の検査結果を確認します。健側と並べて撮影してもらった皮膚のカラー写真を確認します。これらすべてを総合的に評価して等級認定がなされます。